MONEYKitトップ > from MONEYKit > 為替・金利レポート > 金利レポート > フィスコ金利レポート 米国金利見通し:2007年9月25日
9月18日未明のFOMC(連邦公開市場委員会)において、Fed(米連邦準備理事会)は、全員一致でフェデラル・ファンドレートと公定歩合をそれぞれ0.5%引き下げました(FF金利5.25%→4.75%、公定歩合5.75%→5.25%)。これは、市場予想を上回る積極的な緩和施策です。委員会後の声明では、「利下げは金融市場の混乱から発生しうる経済への広範な影響を阻止することがねらい」・「信用市場の逼迫は住宅市場の不振を悪化させ、経済成長を抑制する可能性がある」としており、この利下げの目的がサブプライムローン(信用力の低い層を対象とした住宅ローン)問題を発端とした市場の不安心理の払拭であることが分かります。「インフレ・リスクはある程度残っている」とも述べていますが、今回は市場機能の回復を優先した格好です。
通常、緩和策を取る場合は、1998年の大手ヘッジファンドLTCM(ロング・ターム・キャピタル・マネジメント)破綻のときの対応もそうであったように、一回きりで終わることはまずありません。したがって、市場関係者は今回ほど積極的な利下げかどうかはともかく、最終的に3回程度の利下げを見越しています。
そこから先の見方は分かれており、「LTCMのときと同様、半年もすればFedは再び利上げに転じる」と主張する人もいます。しかし、LTCM破綻は、1997年のアジア通貨危機から始まった新興国のドミノ倒しのような通貨危機や、その煽りを受けたロシアの債務不履行がきっかけでした。また、アジア通貨危機から新興国が全体として経常黒字国になるまで10年掛かりました。
米国は、これまでの巨額の経常赤字、住宅バブルがはじけたことによる不良債権問題をかかえていますので、成長を優先させてマネー拡大によるリフレ(人造的インフレ)を追求する場合は、アジア通貨危機規模の混乱となる可能性さえあります。ただし、ドルは基軸通貨であるという大きな安心材料はあります。また、資金を運用上振り分けるプロセス(アセット・アロケーション)で米国市場はやはり大きな市場であるため、途上国の外貨準備運用先として公的な買いは期待できるでしょう。ドルの暴落は、米国が自ら中国などとの衝突を選ばない限り、ないとみています。
ところで今や、世界は米国の富の創出メカニズムの一つである「比較的低利の債券で調達して(長い目でみれば)利回りのいい株式などの資産に投資する」という錬金術に気付き始めています。先行する中東などの産油国に続き、中国も外貨準備を株式などで積極運用する政府系ファンド(ソブリン・ウェルス・ファンド)を設立しています。さらに新興国は、資本の輸出の形態として、先進国の株式会社を買おうとしています。為替リスクを埋め合わせられるか分からない債券などの資産よりははるかに高い運用成果が期待できるため、一見魅力的と映ります。しかし、資本輸入国である米国では、恐らくこういう形態での資本輸出は歓迎されないか、投資保護主義を生むでしょう。米国の比較的高い株式のリターンは、新興国が買ってくれていた債券の利回りが低位安定に推移したことから可能となったものです。利下げにより、新興国の購入額が減少すれば、株式の成長力の前提も(場合によっては大きく)変わります。今後も新興国は金融をも通して先進国に一層影響を与えようとするでしょう。
株が上昇し、金が大きくはねあがり、原油価格が上がっているのは、市場が米国は深刻な景気後退まではないが、長期的なインフレには備えるべき、または、これまでの数年間に世界中にばらまかれたドルが大きく下がるのなら資産の保全をしようとした結果です。この動きが万一劇的に加速すればFedの将来の政策を縛る可能性すらあるでしょう。
| 9月25日時点 | 1ヵ月後予想 | |
|---|---|---|
| 政策金利 | 4.75% | 4.25〜4.75% |
| 2年債金利 | 4.04% | 3.75〜4.25% |
| 10年債金利 | 4.63% | 4.25〜5.00% |
株式会社フィスコ
田浦哲哉
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レポート提供:株式会社フィスコ
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