MONEYKitトップ > from MONEYKit > 為替・金利レポート > 金利レポート > フィスコ金利レポート 英国金利見通し:2007年9月10日
9月6日の英国中央銀行(以下英中銀)発表の政策金利は、前月に引き続き5.75%で現状維持となりました。8月の会合後に国内外の資本市場における信用収縮不安が一層強くなったことを考慮したものと思われます。政策金利は据え置かれたものの、米サブプライムローン(信用力の低い層を対象とした住宅ローン)問題に由来する信用不安から短期金融市場における1ヵ月もの、3ヵ月ものポンド金利は前月から0.5%以上上昇しており、追加利上げが実施された場合と変わらない水準で取り引きされています。英中銀は短期金利の上昇を抑制するために、市中銀行に十分な資金供給を行っているようですが、金利は通常の状態と比べて高止まりしており、少なくともこうした状況が改善されない限り、英中銀が追加利上げを検討することは困難とみられています。現時点では10月も政策金利は現状維持となる可能性が高いとの見方が強く、資本市場における信用収縮不安が払拭されない場合、政策金利は年内据え置き、状況次第では利下げ観測が浮上する可能性もあります。
しかしながら、インフレ圧力が明らかに低下していると判断できる証拠が揃っていないだけに、金融市場の安定性を優先するか、将来におけるインフレ圧力の増大に備えるべきか、英中銀は難しい立場に立たされています。十分な資金供給を行っている限り、短期金融市場が大きく混乱する可能性は低いとみられていますが、市場参加者の間に過度の金利低下期待が生まれた場合、英中銀がこれにどう対処するのか、はっきりしない点もあります。9月の会合で議論された内容については9月19日公表予定の議事録内容を慎重に検討する必要がありそうです。9月の会合で早期利下げの必要性や可能性について議論されていた場合、年内利下げの思惑が広がる可能性もあります。
8月の会合では全員一致で金融政策の現状維持が決定されましたが、この時点で英中銀は米サブプライムローンの債務不履行などが英国経済に与える影響について、市場関係者の想像以上に深刻に受け止めていたのかもしれません。8月の会合議事録内容を見る限りでは、特に深刻な問題として扱っていないように思えますが、英中銀総裁などがこの時点では予断を持つことを避けた可能性もあります。ただ、英国の大手銀行などが米サブプライムローン問題に深く関わっていることが判明しており、8月時点で利上げを見送ったことは妥当な判断だったと思われます。当面はロンドン短期金融市場における短期金利の推移を観察しながら、米国の経済情勢や資本市場における信用収縮懸念が再び発生しないかどうかを見極める必要があると思われます。ポンドの短期金利水準が低下しない場合は、その原因を究明することは当然ですが、金融当局は短期金融市場参加者の間に余計な憶測や疑いが生じないように、状況を具体的に説明することが必要となるかもしれません。
なお、9月中に発表される英国の主要経済指標では8月消費者物価指数(18日:前年比予想+1.9〜2.0%、7月+1.9%)と8月小売売上高指数(20日:前月比予想+0.3〜0.4%、7月+0.7%)が注目されていますが、9月下旬に発表予定のネーションワイド住宅価格にも大きな関心が寄せられているようです。8月の物価上昇率が2%程度であれば、インフレ圧力が増大する懸念は当面ないとの見方が広がることになり、10月以降の追加利上げの必要性は大きく低下することになるでしょう。8月のネーションワイド住宅価格は上昇基調を維持していますが(前年比+9.6%)、9月の上昇率が前月を大きく下回った場合、来年にかけて住宅価格が低下するとの思惑が浮上する事も考えられます。住宅価格の低下は担保価値の低下と同意であるだけに、十分な注意が必要となります。
消費者物価指数などのインフレ率の低下や住宅価格の低下は英中銀に早期利下げを催促する要因となりそうです。また、9月18日の米FOMC(連邦公開市場委員会)の結果や同時に発表される声明内容次第では10月の会合を待たずに英中銀の早期利下げ観測が急浮上する可能性もあります。現時点では、英中銀がインフレ見通しについての判断を大きく変更することはないとみられていますが、早期利下げの必要性を打ち消すようなインフレ関連の指標(消費者物価指数、生産者物価指数、雇用統計など)などが揃わない限り、短期金融市場などで金利の先安感が台頭してもおかしくない状況となりつつあります。
| 9月10日時点 | 1ヵ月後予想 | |
|---|---|---|
| 政策金利 | 5.75% | 5.50〜5.75% |
| 英国2年国債利回り | 5.23% | 5.10〜5.25% |
| 英国10年国債利回り | 4.95% | 4.90〜5.10% |
株式会社フィスコ
小瀬正毅
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レポート提供:株式会社フィスコ
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