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金利レポート
フィスコ金利レポート ユーロ金利見通し:2007年9月10日

9月6日のECB(欧州中央銀行)定例理事会では、8月と同様に政策金利は据え置きとなりました。これは2007年8月6日付の金利レポートでも可能性として指摘していたことです。

会合後の会見で、トリシェ総裁は、「金利据え置き決定は全会一致である」と述べました。また、「物価見通しは依然上振れリスクがある」、「あらゆる動向を綿密に監視する」、「ECBの金融政策は依然として緩和気味」であるとし、「将来『強い警戒』の文言を使用する可能性」があることを示しました。

この決断は妥当なものであったと思われます。ドイツの銀行2行がサブプライム関連投資で巨額の損失を計上している中、仮に利上げを強行していたら、1987年のブラックマンデーのようなグローバルな株式市場の大調整を招いていたかもしれないからです。ファンダメンタルズからもECBは利上げを急ぐ必要はありませんでした。ユーロ圏のインフレはごく目先では7-8月ともに前年比+1.8%ですし、IFO指数などの業況感指数は(少なくとも)踊り場入りしています。インフレ・リスクを高めているものとしてはユーロ圏の設備稼働率の上昇傾向と低水準の失業率がありますが、これは金融市場が落ち着いてから対処しても<物価の番人>としての信認を損なうことはないと思われます。

しかし、ECBがインターバンク(銀行間)市場で大量に資金供給しているなかで、それに逆行する利上げは難しいと、市場のコンセンサスがほぼ形成されていたにもかかわらず、8月22日にECBはインフレ警戒スタンスに変わりはない、「金融政策に関する姿勢はトリシェ総裁が8月2日に表明したものに沿う」、と声明を発表したため、利上げ観測が高まるといった混乱もありました。金融政策の変更を予告するいわゆる「トリシェ・コード(暗号)」通りとすると利上げとなったはずですが、神ならぬ身ですから、市場で起こることを全て見通すことはできません。今回金利を据え置いたのはリスク・マネジメントとして当然です。ただ、なぜ金融市場の波乱が続いている定例理事会2週間前に利上げ路線を強調したのか、その必然性は問い直されてよいでしょう。これはあるいはECBに対して高圧的なサルコジ仏大統領への対抗だったかもしれないという見方もありますが、はっきりとはしません。

さて、今後のECBの政策を見通す上では、金融市場の混乱は引き続き問題になります。9月6日のトリシェ総裁による利上げ再開の可能性を示唆した記者会見を額面通りに受け取る必要はないでしょう。むしろ、翌日7日に発表された米雇用統計で米国の景気の深刻な下方リスクが芽生えたため、日本の「金利正常化」路線と同様、ECBも利上げは当面凍結せざるを得ないでしょう。米国向けの輸出で潤ってきたエマージング諸国、同地域への輸出で潤ってきたドイツ企業、ひいてはユーロ圏の景気も先行き鈍化の可能性があります。Fed(連邦準備制度)は18日にかけて金融緩和に踏み切る(利下げする)可能性が極めて高く、米・ユーロ間の金利差に敏感なユーロ・ドル相場の動きからすれば、ユーロ・ドル相場の一段高もありえます。これはユーロ圏のインフレ圧力を緩和します。また、ドルの信用力が低下すれば安全な資産と見られる金や円などへの上昇圧力も強まる可能性があります。8月の見通しとやや異なる点は、金融市場の混乱はいまや実体経済にマイナスの影響を与え始めており、それが金融市場の混乱に再びフィードバックされる可能性もあることです。

  9月7日時点 1ヵ月後予想
政策金利 4.00% 4.00%
ドイツ2年国債利回り 3.91% 3.80〜4.20%
ドイツ10年国債利回り 4.12% 3.90〜4.40%

株式会社フィスコ
田浦哲哉

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レポート提供:株式会社フィスコ

http://www.fisco.co.jp/

株式会社フィスコは1995年5月に設立された日本では数少ない独立系の金融市場の調査機関として、機関投資家や個人投資家へリサーチサービスを提供しています。

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