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投資哲学の根幹、「ボトム・アップ・アプローチ」
先程のお話に戻りますと、銘柄選択のところがポイントだということでした。フィデリティさんと言えば、ボトム・アップ・アプローチで銘柄を選んでいらっしゃることで知られていますね。少し詳しく教えていただけますか。
綿密に個別企業の調査を行うことにより、その企業の将来の成長性や財務内容等を分析します。その結果をもとに運用するのが「ボトム・アップ・アプローチ」です。私どもは企業の経営戦略や事業活動を理解するため細部にわたる情報を収集しますが、これは分析の確実性を高め、優良企業を発掘する際の強い裏付けとなるからです。まさにフィデリティの投資哲学の基礎になる調査・分析の手法であると言えます。ただ、一口に「ボトムアップ」といっても、どこの運用会社さんもやっています。しかし、どれだけ徹底的にやっているかということになると違ってくると思います。
「徹底的」というのは、具体的には企業訪問やアナリストの数が多いといったことでしょうか。
そうですね。さらに個別企業の訪問だけではなく、いろいろな方面から情報収集します。たとえば、仕入先にまで訪問していろいろ聞くことがあります。ライバル企業にも訪問することがありますね。それから、もう一つの特徴はグローバルなネットワークです。たとえば、ホンダ技研は全体の純利益の8割ぐらいをアメリカで稼いでいる。ですから当然アメリカの情報が必要になりますね。(フィデリティの)アメリカには多数の株式アナリストがおり、その分析は全世界で共有されています。このように、グローバルなネットワークを利用して、各地からの情報を全て入手できるような体制になっていることは大きな強みです。

日本ではどのような運用体制を敷いていらっしゃるのですか?
フィデリティは、東京の運用会社の中で最も株式アナリストの人数が多い会社だと思います。日本株だけで今23名おります。各アナリストは担当の銘柄について必ず3ヶ月に1回見直しをしなければならないというルールがあり、そのルールが守られている会社は時価総額ベースでいうと全体の8割以上を占めています。
主要な銘柄はほとんどカバーされているということですね。銘柄選択されるにあたっては、アナリストが推奨する銘柄が選ばれるのですか?
最終的には、ポートフォリオ・マネージャーが投資判断します。たとえば、アナリストが強く薦めても買わないポートフォリオ・マネージャーもいるし、逆の場合もあります。ポートフォリオ・マネージャーが自分で調べて自分で投資することもあり得るし、極端な例をいいますと、同じときにこのポートフォリオ・マネージャーが買っているけれど、こっちのポートフォリオ・マネージャーは買っていないということもあり得ます。

御社では、ポートフォリオ・マネージャーの方の権限が大きいとうかがっているのですが、それは今おっしゃられたような意味で裁量が大きいということでしょうか?
そうですね。これは哲学なのです。ファンドの運用は責任がはっきりしないとダメだと。要するに、「この人に任せて100%責任を持ってもらう」という発想ですね。もう一つは、投資の世界では一筋ではないという考えかたですね。だから、個人差があっても全然かまわないのです。
- ファンドマネージャー・インタビュー ロバート L.ティリー氏(1)
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