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第1部講演:「中小型株式市場の見通しと投資戦略」
結論
投資家の不信感が解消されるには、残念ながら時間がかかると考えています。
企業の利益に関しては、2つのポイントがあります。1つは、第1四半期の決算発表です。3月期決算の企業は4〜6月が第1四半期で、7月中旬以降、発表されます。その数字が重要なポイントです。2月期決算の会社の第1四半期(3〜5月)発表が出ていますが、売上高の成長率は悪くないし、利益もコントロールできているというのがざっくりとした印象です。こうしたトレンドをみると、この第1四半期の決算はそんなに悪くないのかな、と考えています。
2つめは、中間期の決算です。第1四半期の決算と異なり、しっかりした財務諸表を提出する必要があり、この段階で、昨年見られたような会計基準の変更によるダメージがどこまであるのかを確認できるということです。昨年、コストを積み上げた分、今年は戻りが大きい(増益幅が高くなる)ことも期待されます。こういったモーメンタムの強さを株式市場が前もって織り込む時期を考えていくと、第1四半期と中間期の決算の間ぐらいの8月、9月に、投資家の不信感が少しずつ払拭されてくるのではないかと考えています。
不正会計の問題は、規律ある統制の実施、具体的には検査の厳格化とJ-SOX法の施行により、来期以降は減少する見通しです。ただし、内部統制のコストが新たに発生するため、その影響を見極めていく必要があります。
たとえば新しいソフトの導入、外部コンサルタントへの委託、スペシャリストの雇用などのコストがかかるわけですが、経常利益が10億円位の企業の場合、大体5,000万円〜1億円位のコストがかかるのではないか言われています。利益規模の小さい会社では、そのコストで少し利益成長が食われてしまうという形になりますので、今期においては、利益の規模の大きい会社に投資した方がいいのではないか、と考えています。
最後に、経営陣の資質に関しては、残念ながら解決しない問題であると考えています。とくにTOBやMBOは、株価が低迷している時期は起こりやすいと考えています。ただし、経営陣の資質は、常にある問題です。市場心理に影響される部分も大きく、銘柄選択においてより重要になってくると思われます。
いずれにせよ、いますぐには回復しないが、回復の芽は出てきているというのが、中小型株式市場の見通しです。
ここまでが足元の認識と向こう6ヶ月くらいの見通しですが、最後にリスクについてお話しさせていただきます。大きなリスクと小さなリスクに分けてご説明いたします。
大きなリスクは、世界的な金利の急上昇です。金利が上昇すると投資家の資金調達コストが上昇するため、ヘッジファンドを中心とした機関投資家の売り圧力につながります。
日本の10年国債の金利も大分上がってきていますが、株価は下がっていません。特に、中小型株市場は金利上昇の動きには弱いわけですが、株価は下がっていません。この理由は2つあると思っています。1つは、お金を借りて中小型株に投資しようと考えるヘッジファンドのほとんどは中小型株を売ってしまって、保有していない。もう1つは、世界的に金利が上昇しても日経平均株価は下がらないわけですから、金利というよりも、お金の過剰流動性が相場を支えているのではないか、と考えています。
過剰流動性について私なりの考えをお話しすると、2つの供給源があると考えています。1つは中国の外貨準備高、それから2つ目はオイルマネーです。
中国の外貨準備高はかなりの勢いで増えています。中国がたくさん輸出をして、外貨を稼ぎ、債券などを買う。そのときに市場にお金が供給され、株式市場も商品市況も支えている。こういった見方をしますと、中国の輸出の伸びが少なくなる、人民元が切り上がるなどで中国の外貨準備の伸びが減ってくるのが1つの懸念となってきます。
オイルマネーについては、石油から得られる収入でかなりお金が余っているためです。この状況が変わる要因として考えられるのは、原油価格が下がるか、原油の輸出量が減るかのどちらかでしょう。
もう1つの中期的に見たリスクとしては、政府の規制が厳しくなってきており、中小型株、新興企業のダイナミズムが失われてしまう懸念があるということです。
今、私たちに大切なのは、全体的には鈍感力をもって投資に臨み、個別銘柄の選択においては、細心の注意を払うということです。第1四半期の決算を見て、コストコントロールがかなりきいている会社や、これまで高い成長力があるにもかかわらず、PERが高くて買えなかったような銘柄を仕込んでいくチャンスだと考えています。
まとめますと、新興市場については非常に厳しい環境下にありますが、成長性豊かな銘柄、将来東証一部に上場して活躍できるような銘柄にフォーカスを当て運用を続けている、その方針は全く変わっていない、というところでございます。
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