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第1部講演:「中小型株式市場の見通しと投資戦略」
(2)割安な水準にある現在の中小型株式
では、今年の利益はどうなるのでしょうか。大手証券会社のリサーチ・アナリストによると、2007年度、ジャスダック市場(金融を除く)の経常利益の成長率は21.2%の見込みです。また、日本経済新聞社が集計した新興3市場の成長率は22%でした。仮に20%の増益が達成されるのであれば、現在の株価はかなり割安感があると私は考えます。
日経ジャスダック平均のEPS(1株当たり利益)は、2002年を底に上昇し、現在はITバブルの頃を上回る水準です。一方、PERは約20倍です。日経ジャスダック平均のPERは、平常時では33倍から15倍の範囲で推移していることを考えれば、現在の20倍は歴史的に見ても割安な水準です。
- [東証一部、ジャスダック主要指標]
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(連結ベース)
東証一部 ジャスダック PER(倍) 19.95 20.10 PBR(倍) 1.92 1.76 配当利回り(%) 1.23 1.62 PER、配当利回りは予想、PBRは前期基準
2007年6月29日現在 出所:日本経済新聞
PER(株価収益率)以外の指標では、PBR(株価純資産倍率)や配当利回りなどがあります。東証一部市場とジャスダック市場を比較すると、PERはほとんど変わりません。PBRについては、ジャスダック銘柄は、非常に資本が少なく、資産(土地や金融資産)もないので、どちらかというと割高になる傾向にありますが、現状ではジャスダック銘柄の方が割安となっています。配当利回りにおいても、ジャスダック銘柄の方が高い状態で、いずれの指標もジャスダック市場への投資が魅力的な水準であることを示しています。
- [市場動向 - 大型株VS小型株]
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来期PER推移【東証一部・主要小型株市場比較】
(注)小型株主要市場=ジャスダック、東証二部、マザーズ。業績予想は来期予想基準で野村予想を東洋経済予想で補完
出所:野村證券金融経済研究所、2007年6月27日現在
大型株と主要小型株のPERの推移を見ると、2004年4月以来、小型株が大型株を上回る水準が続きましたが、最近になって同水準になっています。小型株が大型株に負け始めたのは、この2004年4月頃でした。小型株の割高感はかなり解消され、今後、一方的に負け続ける状況は終わりつつあるのではないかと思います。
- [中小型株における高/低ボラティリティ銘柄群のPBR比較]
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(注)R/N Small指数構成企業のうち、株価ボラティリティの上位20%の銘柄群と下位20%の銘柄群とのPBRを比較し、その比率の推移を示した
(出所) 野村證券金融経済研究所・インベスコ投信投資顧問(株)作成
中小型株のなかでも、成長株と割安株を比較すると、現在は成長株がかなり割安な局面になっています。
また、中小型株のなかで、ボラティリティ(変動率)の高い銘柄と低い銘柄に分けてPBRを比較すると、現在は2003年の底値に近い水準にあり、成長力は高く、とくにボラティリティの高い銘柄が、チャンスの局面を迎えつつあるといえます。
- [東証二部、ジャスダック、マザーズの主体別売買動向]
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(注) 東証二部とジャスダック、マザーズの合算ベース。直近は2007年6月8日まで。
出所:東証、ジャスダックのデータより野村證券金融経済研究所・インベスコ投信投資顧問作成
割安感の出てきた中小型株を誰が買うのでしょう。東証二部、ジャスダック、マザーズの3市場の主体別売買動向を見ると、外国人投資家はやや買い越しています。信託銀行は売り越しです。
今後はどうなるのか?外国人投資家の意見を聞くと、「日本株は出遅れているが、ちょっと株価が上がっても円安になるとリターンが得られないので、あまり積極的ではない」とのことでした。ここから考えられるのは、円安が止まると、外国人投資家の動きは変わってくるかもしれないということです。
では、いつ円安が変わるのか?現在マーケットのコンセンサスになっている日銀の利上げが8月と言われているので、このあたりから少しずつトレンドが変わるかもしれません。
- [中小型株式 - IPOトレンド]
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IPO初値乖離率(10銘柄移動平均)
出所:大和総研、2007年5月31日現在
一方の個人投資家はどうでしょう。個人投資家のセンチメント(市場心理)をよく表わしているのが、IPOトレンド(初値乖離率)です。グラフは10銘柄の公募価格から初値までの上昇率を平均したものです。
過去の推移を見ると、中小型株市場は、公募価格から初値までの上昇率が100%〜300%という、非常に投資効率の良い市場であることがわかります。半面、相場が悪いときはゼロに近く、初値でほとんど儲からない市場でもあります。
歴史的に見ると、このゼロに近い局面が、相場の底に近いときで、昨年11月がそうでした。その後、いったん上昇しましたが、再び下落していることから個人投資家のセンチメントは、中小型株式においてはあまり上がってきていない状況と言えます。
- [ジャスダックの信用買残と評価損益率]
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(注)信用買い評価損益率=【買残高金額-[(貸借融資金額+自己融資金額)/(貸借融資株数+自己融資株数)×社内割当株数+貸借融資金額+自己融資金額]】/買残高金額
出所:ジャスダックのデータより野村證券金融経済研究所・インベスコ投信投資顧問(株)作成
もう1つ、ジャスダック市場の信用買残と評価損益率から投資家のトレンドを見ると、ライブドアショック以降、信用買い残高は大きく減少し、いったん切り替えした後で、さらに下がっています。これは投資家の売り圧力が強いことを示しています。
信用買いの評価損率を見ると、−14.9%まで回復しました。これは、信用取引している個人投資家は平均して15%弱損をしていることを表わします。これまでほとんどのケースで損をしていることになりますが、プラスになったところは、相場がピークを迎えた局面です。
信用買い残高は変わらないのに、評価損率が変わっているということは、下げ相場にもかかわらず、売りと同じだけ買いが入っているということを表わします。
現在、ジャスダック市場は80ポイント前後ですが、90ポイント近くになると、評価損率は−10%を切ってくるので、個人投資家もいよいよ動き始めるものと思われます。
- はじめに
- 第1部講演:「中小型株式市場の見通しと投資戦略」
- 第1部講演:「中小型株式市場の見通しと投資戦略」割安な水準にある現在の中小型株式
- 第1部講演:「中小型株式市場の見通しと投資戦略」結論
- 第2部講演:「東欧・ロシアを取り巻く投資環境と今後の見通し」
- 第2部講演:「東欧・ロシアを取り巻く投資環境と今後の見通し」今後の鍵を握る投資テーマ

