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第1部講演:「中小型株式市場の見通しと投資戦略」

講師:インベスコ投信投資顧問株式会社 中小型株運用チーム
チームヘッド シニアファンドマネジャー 得能 修氏
(1)中小型株式市場の現状と4つの問題

2006年1月のライブドアショック以降、日本の中小型株式市場は非常に厳しい状況にあります。特に新興市場の下落が大きく、一部の雑誌では、「新興市場は死んだか」とも言われています。
成長株投資にとって、非常に厳しい環境下にありますが、市場のダイナミズムは失われているわけではなく、今後も時間を味方につければ、中長期的には非常に有望な分野であると、私たちは考えています。
中小型株式市場の現状と、今後の見通しについてお話しさせていただきます。
- [ジャスダック指数(直近5年間)の推移]
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出所:ブルームバーグ
新興市場はいろいろありますが、一番銘柄数が多く、時価総額が大きいジャスダック市場を中心に話を進めさせていただきます。ジャスダック指数の推移を見ると、2003年3月を底に、ライブドアショックまで上がっていって、その後、ずっと下がっていることがわかります。底から天井まで約4倍に上昇し、その後40%下がって現在の水準となっています。
日経平均に置き換えて説明すると、8,000円だったのが3万2,000円まで値上がりし、2万円ぐらいまで下がったというイメージです。変動の大きいマーケットであることがおわかりいただけると思います。
日本の小型株式市場が下落する一方で、この間、世界の株式市場はどんどん上がっていきました。日本の小型株式市場だけがよくないのには、いくつか問題があります。
一番大きな問題は、利益成長率が下がってしまったこと。2つめは、監査の厳格化にともない会計方針が変更となり、業績がぶれやすくなったことです。
3つめは、不正会計問題です。食品会社が架空取引を行っていたり、ソフトウエア開発会社が循環取引を行っていたことなどがあげられます。
そして4つめが、経営陣の資質です。親会社によるTOBや経営陣によるMBOが相次ぎ、上場が保証されない可能性から小型株投資が敬遠されました。
- [各指標の推移]
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出所:大和総研
4つのなかで、一番大きな問題となった利益成長率の低下、すなわち企業業績について考えてみたいと思います。
2006年度のジャスダック市場(金融機関を除く)の経常利益の成長率は1.6%でした。これは非常に低い水準で、下方修正に下方修正を重ねたことや、過去4年間非常に高い成長率を維持してきにもかかわらず横ばいだったことから、大きな失望を呼びました。
2006年度、利益成長率は、中小型株よりも大型株のほうが高く、株価収益率(PER)は、大型株よりも中小型株のほうが高い状態でした(ジャスダック市場のPERは40.2倍、東証一部は21.7倍)。これでは小型株に投資する意味はありません。むしろ、小型株を売って大型株の上昇についていこうとする動きがあったことは、当然のことでした。
では何故、中小型株の成長率が低かったのでしょうか。
- [新興3市場の増収率・経常増益率]
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毎年6月末時点における、ジャスダック、東証マザーズ、大証ヘラクレスの非金融上場企業が対象(06年度推定は5月21日までに決算を発表した企業)。
出所:野村證券金融経済研究所
ジャスダック、マザーズ、ヘラクレスの新興3市場の売上高と経常利益の成長率を見ると、売上高は伸びているが、利益が大きく下がっていることがわかります。ビジネスは比較的うまくいっているにもかかわらず、コストが上がってしまったのです。
コストが上がった要因を、私たちは2つのパターンに分けて考えています。1つは、過去4年間、高い成長率を達成したので、経営者が非常に強気になり、設備投資や雇用を先行させたため、損益分岐点が上がって、利益が下がってしまったパターンです。
具体的には、M&Aを繰り返して、売上高は増えているが、買収した会社の利益が思ったほど上がらず、全体的な利益として下がってしまうといったケースがあります。
2つめのパターンとしては、前述の会計基準の厳格化に関連するものです。大阪の金型会社の例を紹介すると、これまでは、最初に商品を納めれば、売り上げと利益が立ってきたのですが、納品先の支払い方法が複数回にわたる場合は、当期の入金分だけを計上するよう監査法人が指導し始めたのです。そうすると、コストは一定ながら、売り上げ減少するため、その年の利益はさんざんな数字になります。
長い目で見ると影響はないのではないかと思いますが、不信感が渦巻いていたり、非常に弱気なセンチメントが台頭すると、株価はかなり下がってしまう、といったことになります。

