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金利レポート
フィスコ金利レポート 円金利見通し:2007年7月12日

金融政策は賛成多数で現状維持

7月11日から12日にかけて開催された日銀の金融政策決定会合において、8対1の賛成多数で現状の金融政策を維持することを決定しました。市場では、今回の会合での追加利上げを予想する向きはほとんどなかったこともあり、結果に対して市場の目立った反応はありませんでした。

今回は反対票(水野委員)が一票出ましたが、この結果から8月の追加利上げの可能性を読み取ることはまだ難しいと思われます。
ひと月前(6月18日)の福井日銀総裁会見では、「米国経済の今後の方向は、もう少し見極めなければ誰もが完全にそうですとは言えない状況にあると思います。設備投資にしても個人消費にしても、内需の基調的な拡大の持続性について、私どもはより確証が欲しいと考えています。」と慎重な姿勢を見せていましたが、7月12日の会見では、「4−6月期のGDPが低めでも決定的要因でない、ほかの指標を含めて判断」、「私自身はシナリオ通りの動きが続けば、将来利上げは間違いないと確信」、「各委員の経済の見方、後退よりは進展したと思う」「選挙結果がどう出ても経済全体への影響を見て判断」と発言しています。この発言からは、これまでの追加利上げに向けての姿勢に変化はなく、あくまでそのタイミングを計っていると捉えることができます。
2月の会合で岩田副総裁が反対票を投じたように執行部票が割れるような状況が予想される場合は、追加利上げに関する議長提案は行い辛く、少なくとも副総裁2名との意見の一致を見たいところです。

今回、追加利上げが見送られた背景のひとつとして足元の経済指標が影響していた可能性があります。たとえば、5月の鉱工業生産動向(速報値)の生産が前月比-0.4%と3か月連続の低下となったことや、5月の全国の消費者物価指数(生鮮食品を除く)が前年同月比-0.1%、6月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比-0.1%となっていました。
また、日銀が最も重視している経済指標のひとつ「日銀短観」6月集計分は、大企業・製造業業況判断DIは前回と変わらずの+23と高水準を維持したものの、2007年度大企業・全産業の設備投資計画や、中小企業・全産業の設備投資計画が予想されたほどの修正幅ではありませんでした。4月の日銀展望リポートの内容からは大きく逸脱してはいませんが、経済・物価の指標がやや下振れている状況です。

米サブプライム(低所得者向けの住宅ローン)問題も米国の金融システムへの影響という点では気になるところですが、本邦へ飛び火する可能性も少ないことから、深刻視する必要はないと思います。

また、7月29日の参議院選挙に関して、福井総裁は「選挙結果がどう出ても経済全体への影響みて判断」との発言をしており、結果次第では政局のみならず財政運営、さらに日本の景気などにも影響を与える可能性もあるため、その結果を確かめる必要もありそうです。
日銀は、8月22-23日の金融政策決定会合前までに発表される4-6月期のGDPなどの経済・物価指標を確認するとともに、米国経済動向などを見ながら改めて、8月における追加利上げの可能性を模索してくるものと思われます。

以上のことを踏まえて、8月22日の会合までの長期金利主体の動向予想をしてみましょう。
市場では8月の追加利上げの実施を見る向きが多く、今回の決定会合結果や総裁会見の内容からもその見方は後退することはないと思われます。このため、特に中短期の金利は下がりにくい状況が続くとみており5年債利回りは当面、1.5%を挟んでの動きが予想されます。
10年債利回りに関しては、米国金利動向などの影響も受けやすく、さらに選挙動向などを見ながら海外投資家などの思惑的な動きも出るとみられ、1.8%から2.0%のレンジ内ながらやや動きの荒い展開も予想されます。
さらに超長期の金利についても、ここにきて上昇圧力を強めていますが、8月利上げの可能性が強い以上、投資家も慎重姿勢を取らざるを得ません。このため、押し目買いに徹することを予想すれば、この金利が下がりにくい傾向は当面続くものとみられます。

総じて金利は上昇圧力が強そうですが、すでに8月利上げはある程度織り込んでいることを考えれば、ここからさらに大きく金利が上昇していくことも考えづらいことも確かです。長期金利の2%は心理的な壁と意識されるものと見ています。

過去一年間の日銀金融政策の推移

2006年8月11日現状維持、全員一致
2006年9月8日現状維持、全員一致
2006年10月13日現状維持、全員一致
2006年10月31日現状維持、全員一致
2006年11月16日現状維持、全員一致
2006年12月19日現状維持、全員一致
2007年1月18日現状維持、賛成6反対3(反対は須田委員、水野委員、野田委員)
2007年2月21日無担保コールレート翌日物誘導目標値を0.5%に引き上げ、賛成8 反対1(反対は岩田委員)
基準貸付利子を0.75%に引き上げ、賛成8 反対1(反対は岩田委員)
2007年3月20日現状維持、全員一致
2007年4月10日現状維持、全員一致
2007年4月27日現状維持、全員一致
2007年5月17日現状維持、全員一致
2007年6月15日現状維持、全員一致
2007年7月12日現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)

予想レンジ(7月12日現在)

 現状8月23日
無担保コール翌日物0.5%0.75%
ロンバート金利0.75%1.25%
2年国債利回り1.030%1.0%〜1.25%
5年国債利回り1.490%1.4%〜1.75%
10年国債利回り1.900%1.8%〜2.05%

株式会社フィスコ 久保田博幸

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  • 当レポートは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で作成したものではありません。投資対象・投資機会の選択などの投資にかかる最終決定は、お客さまご自身の判断でなさるようにお願いいたします。当レポートは、ソニー銀行株式会社の依頼に基づき、株式会社フィスコが独自に作成したものであり、ソニー銀行株式会社の見解や見通しを表すものではありません。当レポートは、株式会社フィスコが信頼できると判断した情報源をもとに作成したものですが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、株式会社フィスコおよびソニー銀行株式会社は保証を行っておらず、また、いかなる責任を持つものでもありません。当レポートの記載内容に関するご質問・ご照会などには一切お答えいたしかねますので予めご了承お願いいたします。また、当レポートの記載内容は、予告なしに変更することがあります。
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レポート提供:株式会社フィスコ

http://www.fisco.co.jp/

株式会社フィスコは1995年5月に設立された日本では数少ない独立系の金融市場の調査機関として、機関投資家や個人投資家へリサーチサービスを提供しています。

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