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セミナーレポート
ソニーバンク外貨セミナー「2007年 年内為替相場の見通し」

2007年 年内の為替相場見通し 講師:山下政比呂氏(株式会社フィスコ リサーチマネージャー)

ドル・円相場変動要因

  ドル高・円安 ドル安・円高
米国ドル政策
2008年大統領選
ドル高政策 :インフレ懸念
不均衡是正:中国人民元
ドル安政策 :不均衡是正
民主党議会:保護貿易主義
★雇用情勢悪化??
米国金融政策
FF金利 5.25%
景気回復 → 利上げ継続 景気後退 → 利下げ
中国人民元 切り上げ 日本:対中貿易赤字拡大 切り上げ圧力継続
民主党議会:対中制裁法案
地政学的リスク 中東:原油価格上昇懸念
極東:核実験&ミサイル
中東:米国離れ
日銀金融政策
円キャリートレード
利上げ先送り 追加利上げ→金利差縮小 手仕舞い
原油価格上昇 日本 原油輸入: 円売り 米国 最大消費国:ドル売り

ドル・円相場の変動要因は、テクニカル分析とかファンダメンタル分析などありますが、一番大きな要因はアメリカの通貨政策です。ニクソンショックで360円から180円に、プラザ合意で240円から120円に引き下げたように、アメリカがドル安政策を取る時は、貿易赤字を減らし、製造業の雇用を増やすために実施します。
しかし、ドル安に傾きすぎると、今度は株や債券の暴落を招き、アメリカにとっても好ましくない事態になります。ニクソンショック後、カーター大統領はドル防衛をやり、その次にレーガン大統領がドル高政策を取りました。ドル安政策、歯止めをかけて、ドル高政策、こういう循環を行っています。
アメリカは貿易赤字が大きくなると、ドル安政策を取ります。しかし、現在貿易赤字は史上最大規模を更新しているにも関わらず、アメリカはドル高政策をとっています。商品価格などの高騰によるインフレ懸念がある限り、通貨を高くしなければならないからです。
また、アメリカは財政赤字のため、世界中からお金を借りてこなければならず、将来的な年金資金を海外資本に依存せざるを得ないため、安易にドル安政策はとれない状況です。
2007年5月にアメリカの中国からの輸入物価が初めて0.3%のプラスになりました。中国発のデフレの時代からインフレの時代になった非常に象徴的な数字です。
米国はインフレ抑制と経済成長の両睨みの政策を取っています。しかしながら、このように足元はインフレリスクが出てきており、政策金利は横ばいに推移、もしくは上昇するかもしれません。

日米10年債金利差とドル・円相場

現在、アメリカ10年国債の金利は5%台で、インフレ率が2%ですから、実質金利は3%。実質金利が高くなればドルは買われます。翻って、日本の10年国債金利は2%弱で、インフレ率はほぼゼロですから、実質金利は2%となります。この日米の実質金利差は1%ですけれども、この金利差がある限りはドルが売られることはないでしょう。

FRB連続利上げ終了後の市場

FRB利上げ打ち止め後の動向

FRB利上げ打ち止め後の動向

しかし、金利と為替の動きは完全に一致しているわけではありません。過去のパターンを見ると、アメリカの金利が引き締め局面から緩和局面に転じても、ドル・円はすぐには下がらず、半年ぐらい上昇を続けます。これは、アメリカの金利低下により、アメリカの株式市場・債券市場にお金が流入するためです。つまり、金利が下がる前からドルを売る準備をしなくても、下げた後にドルを売る準備をすればいいということです。
アメリカのインフレは賃金インフレに大きく影響を受けます。失業率は年々低下しており、2004年、2005年は大体5%台でしたが、2006年は4.6%、2007年5月は4.5%となりました。
自然失業率(NAIRU)という考え方があります。たとえば全員が職についていたら、人手不足という状況ですので、賃金が上昇し、賃金インフレの状態になります。しかし、半分の人が失業していたら物価は上がらず、賃金も上がらない。インフレ懸念は無くなります。インフレを加速させない失業率の閾値は、5%とも4.8%とも言われています。現在のように失業率が5%以下である限りは、恐らく賃金インフレ懸念がつきまといますから、利下げに踏み切ることはなく、金利を高く設定してドル高政策を継続すると思います。

サブプライムモーゲージ

サブプライムモーゲージ(低所得者向けの住宅ローン)問題に関して、私は非常に楽観的です。2006年のGDPが13兆ドル(約1,600兆円)という規模であるのに対して、住宅ローン市場は9.7兆円ドル(約1,200兆円)。また、サブプライムローン市場が1.3兆ドル(約160兆円)で、延滞率が13%ですから約21兆円程度の問題です。今後増加する可能性もありますが、アメリカ経済の1%程度にすぎない問題ではないかと思います。

日銀金融政策
■緊急避難的措置 → デフレ脱却
  • 量的金融緩和解除(2006年3月9日) → ゼロ金利政策解除(2006年7月14日)
  • 無担保コール翌日物 : ゼロ%→0.25%→ 0.50%
  • 公定歩合(基準貸付金利) : 0.10%→0.40%→ 0.75%
消費者物価指数 5月
2006
6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月
2007
2月 3月 4月
総合 0.1 0.5 0.3 0.9 0.6 0.4 0.3 0.3 0.0 -0.2 -0.1 0.0
生鮮食品を除く 0.0 0.2 0.2 0.3 0.2 0.1 0.2 0.1 0.0 -0.1 -0.3 -0.1
食料及びエネルギーを除く -0.5 -0.4 -0.3 -0.4 -0.5 -0.4 -0.2 -0.3 -0.2 -0.3 -0.4 -0.2
■日銀金融政策決定会合(7月11日-12日 → 8月22日-23日) 7月29日 参議院選投票日
  • 福井日銀総裁 : 7月利上げ予断もたない。物価、長期金利など見極め必要。
  • 国内総生産(GDP) 2007年第1四半期: 前期比年率+3.3%
  • 日銀短観6月 : 7月2日公表

3ヵ月連続でインフレ率(消費者物価指数)がマイナスです。また、7月29日が参議院選挙投票日ですので、次の利上げは8月以降と予想されています。
2月の利上げ時同様に、金利が上昇すると、円キャリー取引を解消するために円を買うという思惑が広がりますので、円が上昇する可能性もあります。
しかし、日本の政策金利が0.5%から0.75%や1%に上がっても、海外高金利通貨との金利差は依然として大きいため、円高は一時的と思われます。円が高くなったら、買いそびれた人たちには絶好の押し目になると思います。

 

 



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