MONEYKitトップ > from MONEYKit > セミナーレポート > ソニーバンク外貨セミナー「2007年 年内為替相場の見通し」 > 2007年 年内の為替相場見通し 講師:山下政比呂氏(株式会社フィスコ リサーチマネージャー)
2007年 年内の為替相場見通し 講師:山下政比呂氏(株式会社フィスコ リサーチマネージャー)
1.ゴルフと相場
先ず「相場に対する心得」は「ゴルフの心得」と似ている部分がありますので、少しご紹介いたします。
タイミング

「ゴルフと相場は似ている。どちらもタイミングが全てである。」 ウォール街格言
「ブルとベア(強気の人も弱気の人)は時々儲かる。しかし、ピッグ・ホッグ(欲張り)は決して儲からない。」
解説・・・タイミングを見極めることが相場観につながる。
相場も大体8割を取れば、利食ったあと、次のタイミングを待つことが重要。
感情の抑制
「投資で成功するには感情を制御することが重要。」 ウォーレン・バフェット氏
「ゴルフは感情のゲームである。感情をコントールできない者はプレーできない」ベン・ホーガン氏(プロゴルファー)
解説・・・マーケットクラッシュなどの恐怖感といったものに打ちかたなければいけない。そして、切るべき時は切らなければいけない。そういった感情がゴルフと相場に共通している。
悲観・懐疑・楽観
「強気相場は、『悲観』の中で生まれ、『懐疑』の中で育ち、『楽観』と共に成熟し、幸福感と共に消え去る。」テンプルトン(ウォール街伝説のファンドマネージャー)
ゴルフは、プレー前、プレー中、プレー後の3回楽しめるゲームだ。
ただし、内容は、『希望』『絶望』『後悔』の順に変化する。
バルフォア(イギリス 首相) ※バルフォア書簡・宣言で、中東の混迷を招いた人物。
解説・・・プレーの前は、「ひょっとしたら今日は全部ピンに絡んで、パープレーできるのではないか」という希望を胸にする。しかし、ゴルフを始めると、その希望はすぐに打ち砕かれ、絶望に変わって、家路をたどるときには後悔となる。
今回のドル・円相場の上昇は、米国景気がサブプライム問題で減速するのではないか、米連邦準備理事会(FRB)が景気減速懸念から利下げするのではないか、との米国に対する「悲観」の中で生まれ、現状は、ドルは全面安に推移しているのに、ドル・円だけが上昇するのはおかしいのでは、という「懐疑」の中で育ちつつあります。ドルに対する懸念が払拭され、市場が「楽観的」になった時、おそらく、ドル・円相場の上昇トレンドは終るのではないでしょうか。
2.ドル円の現在位置
ドル高・円安要因
円安要因の筆頭は日本の低金利です。高金利通貨での運用の拡大、円を借りて海外の高金利通貨へ投資する円キャリートレードが幅広く行われているため、円安になっています。
次には増税懸念の存在です。定率減税の廃止や、将来的な消費税値上げが見込まれるため、景気悪化懸念から円が売られています。消費税が導入された1989年の翌年は160円まで円安になりました。消費税が3%から5%に引き上げられた1997年の翌年1998年に147円まで円は売られています。年金問題など、政局の混迷も要因です。1989年、1998年の参議院選挙では、自民党は敗北しており、政局混迷から円安に繋がりました。
最後に、原油価格の高騰です。日本は原油を100%輸入していますから、原油価格が上がればドルの購入額も増加して、円安になります。第一次、第二次石油ショックの時も、円安になっています。皆さんが、ガソリンスタンドで高いガソリンを購入する度に、円売り・ドル買いに繋がっていることになります。
ドル高要因は、年初は欧米の金融機関、ファンド勢は米国景気後退懸念による政策金利引下げで、ドルが下がると予想していたようですが、景気回復、利上げへのシナリオ修正により、対円ではドル高に推移してきています。
FRB(連邦準備制度理事会)はインフレ対策の一方で、景気回復を目指しています。軸足をどちらに置くかはその時々によって異なります。景気を回復させようとするのであれば、サブプライムローン問題もありますので利下げをしますが、FOMC(連邦公開市場委員会)はインフレが主要な懸念であると表明していますので、現状は利下げではなくて、利上げとはいかなくても金利据え置きがコンセンサスとなっています。金利据え置きであれば、日米金利差は拡大したままですから、低金利通貨「円」から高金利通貨「ドル」へお金が流れる図式は続くと思われます。
そして、アメリカ通貨当局の円安容認。1971年のニクソンショックから30数年間、アメリカの財務長官が円安を容認したことはなかったわけですが、ポールソン財務長官ははっきりと円安を容認しています。
アメリカは、ニクソンショック以来、貿易赤字を何とか減らそうということで、一番の貿易黒字国日本に対して円高圧力をかけてきました。
20世紀まではG5(アメリカ、イギリス、日本、ドイツ、フランス)とかG7(G5+イタリア、カナダ)の中で為替相場を議論しておけば、何とかなると思われていたわけです。しかし、21世紀になって、中国が世界市場に参入し、アメリカの貿易赤字の3分の1は中国となりました。かつて日本はアメリカの貿易赤字の4割ありましたが、現在は1割に減ったため、アメリカのドル安誘導の矛先は、円高誘導からは中国に対して人民元切り上げ圧力に移りました。
G7の中でドルの価値を議論しても、世界的な貿易不均衡は是正されなくなったため、アメリカは中国と米中戦略的経済対話を始めました。また、アジア新興国、中南米諸国、OPEC(石油輸出国機構)などに対しては、貿易赤字削減圧力をかける権限を、G-7からIMF(国際通貨基金)に移譲しています。
ちなみに、2008年の大統領選挙に向けて恒例の円高誘導は恐らくないと思います。円高圧力は、円安によってアメリカの貿易赤字が拡大し、失業者が増えるという場合に議論が起こりますが、ニューヨーク・ダウが史上最高値を更新しており、失業率も4.5%と歴史的に低い数字にあるため、経済問題は争点にならず、イラク問題が争点になるのではないでしょうか。
- ソニーバンク外貨セミナー「2007年 年内為替相場の見通し」
- 2007年 年内の為替相場見通し 講師:山下政比呂氏
- テクニカル分析・チャートの見方
- 3.2007年後半の予想
- ドル・円相場変動要因
- 中国人民元 長期
- お客さまからのご質問

