MONEYKitトップ > from MONEYKit > スペシャルインタビュー > 社長対談 末永徹氏×石井茂
アメリカの一人勝ちがもたらす「有事のドル売り」
- 石井
- 有事のドルって、今、ないじゃないですか。どちらかというと、戦争が起きるとドルがどんどん安くなっていく。こういう環境って、末永さんから見てどんな感じですか。
- 末永
- 一昔前までどうして「有事のドル買い」だったかというと、こういうことだと思うんです。冷戦体制の下では、世界のどこで起きた紛争であっても、その当事者がどこかでアメリカやソ連につながっていて、その紛争が世界戦争になってしまう可能性があった。我々がイメージしている世界戦争はすなわち第二次世界大戦で、その前後でドルを持っていた人が圧倒的に有利だったわけですよ。円は百分の一以下、ヨーロッパの通貨も大幅に値下がりした。そういう連想が人々を「有事のドル買い」に走らせた。ところが、冷戦が終わって、ちょっと語弊がありますけれども、世界全体がアメリカになってしまったわけですよ。今、世界のどこかで紛争が起きるということは、いわば「内乱」で、内乱によって世界政府であるところのアメリカの信認が下がるわけですよね。日本の中で内乱があれば、たぶん円は値下がりする。同じように世界のどこかで紛争があるとドルが値下がりする。いわゆるアメリカの一人勝ちといわれる状況が「有事のドル売り」の背景ではなかろうか、と。

- 石井
- なるほど。
- 末永
- ドル以外の「何か」なんですね。ユーロにしろ、何にしろ。
- 石井
- 要はドル安なんですか。
- 末永
- 通貨安なんですね。世界通貨であるドルを売って、何かを買うんですね。その何かが、金であったり、オイルであったり、ユーロであったりすると。戦費調達のために通貨が乱発されてインフレになる、通貨の価値が下がる。
末永氏の世界観の原点
- 石井
- 末永さんのそういう、いろんな世界観ってどういう風にして組み立てられてきたんですか? 一番影響力の大きかったものって何なんでしょうね。
- 末永
- 実地の体験が一番大きいですね。それしかないです(笑)。あとは本ですよね。
- 石井
- その中でも強く影響を受けたものって何かあるんですか?
- 末永
- どうだろう・・・ウォーラスタインの「世界経済システム」とか、大学の国際政治の授業とか。世界観ということでは、誰しもそうだと思うんですけど、素の段階では世界という視点はないですよね。日本中心というか、たかだか5年10年、周囲何百平方kmくらいからのモノの見方しかできない。国際政治とか世界史とかを勉強することによって違う視点ができてくる。
- 石井
- 結構「自由」というところに強いこだわりがおありですよね。
- 末永
- それは、うーん・・・・何か、こだわりを作らないと本にならないっていう事情があるわけで(笑)。あえて言うと、個人と集団のバランスで、集団にバイアスがかかっているわけですよ。ほとんどの人が無意識のうちに集団を中心に考えてしまうから、個人の自由を少し強く言ってちょうどいい、ってことですかね。もちろん、我々は、ロビンソン・クルーソーのように無人島でひとりきりで生きているわけじゃなくて、社会の中で生きているんだけれど、あまりにも社会の恩恵が強調されすぎているので、それを少し正す必要があるのではないか。集団のために個人が犠牲になるのは当たり前だと考えている人が多いが、そうではない、と。
- 石井
- 末永さんの本できっと分かりにくいところって、そこらへんの論理が結構早いんだと思うんですよ。すーっと流れていっちゃって。だから、前の本を読んでても、「これ、すごく売れにくいだろうなー」って(笑)。
- 末永
- プロジェクトXみたいに「日本は美しい!」とか「日本人は偉い!」って言わないと本は売れないですよ。本を売りたかったらそういうことを書くしかないです。
- 石井
- 今度のソニー銀行の本も何か配慮していただいたんですか。もしかすると?(笑)
- 末永
- それは、今回は、何を書いても「ソニー」という名前で多少は売れるだろうなと(笑)。
(後編につづく)
- 社長対談 末永徹氏×石井茂(1)
- 社長対談 末永徹氏×石井茂(2)
- 社長対談 末永徹氏×石井茂(3)
- 社長対談 末永徹氏×石井茂(4)
- 社長対談 末永徹氏×石井茂(5)
- 社長対談 末永徹氏×石井茂(6)

