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スペシャルインタビュー
メディアに訊く ダイヤモンドZAi編集長 浜辺氏篇

浜辺氏

30〜40代を中心に幅広い読者に人気のマネー誌、『ダイヤモンドZAi』(以下、『ザイ』)が1月号(2004年11月20日発売)で外貨投資を大特集。円米ドル相場の好タイミングも重なり、大きな話題となりました。
「高校生から中高年まで読者は広がっていますが、皆さん勉強熱心!」という『ザイ』読者の外貨投資意識や、楽しくユニークな紙面づくりの秘密を、編集長の浜辺雅士氏にうかがいました。

(インタビューは2004年12月3日に行われたものです)

「株をやるのはフツー」という時代

2000年3月に創刊された『ザイ』は、現在の主要マネー紙の中では最後発ですが、他誌とはひと味違う紙面づくりで、元気さが目立っていますね。

日本の「マネー雑誌」や「ビジネス雑誌」って、誌面デザインなんかのレベルが低すぎるとずっと思ってたんです。「マネー」や「ビジネス」というテーマは僕らの人生の中でとても大事なことなのに、雑誌がエラクしみったれてるというのはオカシイし、それは後発の雑誌にとってはビジネスチャンスなんだ。そう思って『ザイ』を作ったんです。今の会社に転職してきたときに面接で「日本のビジネス誌をもっとリッチに変えたいんです!」と言って入社してきたので、まさに言行一致(笑)。

僕はいま39歳ですが、『ザイ』の紙面の作りかたっていうのは僕らの世代が読んできた雑誌、たとえば『ポパイ』(*1)や『ブルータス』(*2)のような世界では、普通のことじゃないかと思うんです。
いままでのマネー雑誌というと、なんだかオジサンばかりが登場して、脂ぎった顔の写真がバーンとあって、みたいな感じですよね(笑)。そんなの、『ブルータス』だったらないでしょう。先生がたの話はとても面白いんだから、それが読者に伝わるような普通のデザイン、普通の編集スタイルで見せればいいんじゃないのということを、淡々とやっているつもりです。普通っていうのは、読者に分かりやすく面白く情報を伝えられるプロダクトとして、第一線のレベルを求めるということ。先輩のマネー誌がいろいろあったなかで、そういうのはなかったんですよ。

  • (*1) 『ポパイ』…マガジンハウス社刊行の男性誌。
  • (*2) 『ブルータス』…マガジンハウス社刊行の男性誌。

人気の原因をご自身ではどう捉えていますか。

10年ほど前まで、日本では株をやっている人は、“ヘンな人”と思われていたんです。そんな個人の意識が、大きく変わりました。
日本が右肩上がりの経済成長を続けていた時は、いい会社に就職して真面目に働いていれば給料は順調に上がっていくし、退職金も企業年金を含めた公的年金も非常に潤沢で、要するにおいしい会社に入ればすべてOKだったわけです。普通の人はお金を郵便貯金に預けて、あるいはみんなと同じ時に住宅を買い、同じようなローンを組んでいました。そうすればお金は増えるし、地価の上昇と共に不動産の資産価値も上がっていった。つまり、なんにもしなくてもよかったんですね。下手に投資に手を出した人は、何かトラブルに巻き込まれるとか、損をするというイメージだったんです。
ところがバブル崩壊以降は、そうではないんじゃないかと。いい会社に入っても明日はないかもしれないし、退職金や企業年金なんてあてにしていたら大変なことになるかもしれない。社会が180度変わっていくなかで、個人もメディアも変わっていかなくてはならない。『ザイ』はそんな空気が日本に生まれた頃に生まれた雑誌で、この5年の間に自分で何かしてみようという人たちが、どんどん増えているということだと思います。

直接金融への移行が日本を救う

個人の意識が変わっているなかで、社会全体をみていると変化のスピードがまだ遅いように感じられますが。

日本って、なんでも契約が超長期だったんです。企業だって株主重視の経営に変わりたいと思ってはいるけれど、急には変われなかった。従業員は終身雇用ですし、その後の企業年金まで払うという話ですから、それを明日からはい終わりというわけにはできない。外国の投資家を取材すると、「日本の企業はなぜいつまで経っても変われないのだ?」と、必ず聞かれますけど、そのたび「わかるけど、時間がかかるんだよ!」って答えていたんです。

それと、これまで日本の金融システムは「間接金融」だったわけです。銀行が預金の形で個人から資金を集めて、それを企業が貸してもらうという世界ですね。しかし社会が成熟化して経済全体の伸びが止まった現代では、「直接金融」に変わっていかないとシステムがまわらなくなる。有名企業でも平気で倒産する時代になったときに「間接金融」では、預金者はリスクを取っていませんから、リスクが全部メガバンクに集中しているのです。復活しないって10年前からみんなわかっていた会社もありますよね。なのに、精算して再生させることができなかったことを思い出してください。お金を貸している金融機関ごと潰れてしまっては、日本の経済全体への影響が大きすぎるから潰すに潰せない。「間接金融」でずっとやってきたため、一ヶ所にリスクが集中しているから、日本は変わろうとしても変われなかったんです。

それが「直接金融」の世界になっていれば、たとえば「この企業はいけるな」と思った個人が株式や債券を通じて企業にお金を投資すればいい。「そっちは違うでしょ、これからはこっち」という人は、別の企業に投資すればいい。もし、どこかがダメになったとしても、貸し手が小口に分かれていれば、社会へのダメージも小さくて済みます。投資単位が小さければ投資する側だって分散することができますから、正しい知識を持った投資家であれば、やはりリスクは限定的です。

個人がリスクを分散させるように、社会もまた個人投資によってリスクを分散させる時代になっていかなくてはならないわけですね。

そう変わっていくことは間違いないし、実際に変わっていますよね。それこそソニー銀行さんみたいな面白いプレーヤーが出てきて、個人にとっての選択肢がものすごく広がっています。でもその一方で、まだまだ信用できない業者もいますし、不当に高いお金をとっている業者もいます。具体的にどこが違うのか、自分にはどちらが合っているのか、それぞれのリスクがどうなっていて、自分が取るべきリスクって何なのか。外貨預金だってみんな同じようでも、いろいろ比較すれば大違いってことがあるわけです。そういった知識がないと、もうやっていけない。みんなと同じではダメな時代だということは、自分で勉強しなくてはいけない時代だということですね。

 

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